クレーンオペレーターの仕事というと、
「レバーを操作して重い物を吊る仕事」
というイメージを持っている人も多いと思います。
もちろん間違いではありません。
でも実際に現場で仕事をしていると、ただ吊り荷を上げ下げするだけではありません。
現場全体の流れを考えたり、職人さんと連携したり、次にどう動くのかを先読みしたり。
同じクレーンに乗っていても、作業内容によって難しさは全く違います。
今回は、僕が実際にクレーンオペレーターとして働いてきて、
「この作業は大変だな」
と感じる仕事や、新人の頃に苦労したことについて書いてみたいと思います。
鉄骨の建方は先を読むことが大切
僕が難しいと感じる仕事の一つが「鉄骨の建方」です。
鉄骨建方では、まず「どの順番で、どのように建物が建っていくのか」を把握することが大切です。
もちろん、鳶さんとの連携も欠かせません。
入ってくる材料をどこへ置くのか。
クレーンをどこに据えるのか。
建方が進んだときに、クレーンをどのように逃がしたりする必要があるのか。
そこまで考えながら作業します。
たとえば最初は、「この材料はここに仮置きしておけば、あとで吊れるだろう」と思っていても、建方が進んでクレーンを移動したら届かなくなってしまうことがあります。
さらに、そのときにはすでに柱が建っていて、「もうブームを倒せない」ということもあります。
だから目の前の吊り荷だけではなく、この先現場がどう変わっていくのかを考えながら仕事をする必要があります。
梁を鳶さんへ渡すときも神経を使う
柱の上で待っている鳶さんのところへ梁を持っていく作業も、神経を使います。
当然ですが、梁を鳶さんにぶつけるわけにはいきません。
ただ近くまで持っていけばいいというわけでもなく、梁の向きを合わせて、鳶さんが取りやすい状態で持っていくことも大切です。
クレーン側と鳶さん側の呼吸が合って、スムーズに梁が納まったときは気持ちがいいものです。
反対に、経験が浅い頃は、この距離感やタイミングをつかむのにも苦労しました。
また、長い柱を寝た状態から起こす「柱起こし」は、特に注意が必要な作業です。
僕自身、新人の頃に苦労した作業の一つです。
木の伐採は「重さが分からない」難しさがある
伐採も、僕が難しいと感じる仕事です。
鉄骨などと違って、木は重量を正確に判断することが難しいからです。
たとえば説明のため、そのときのクレーンの条件では500kgまで吊れるとします。
こちらから職人さんに「500kgを超えないように切ってください」とお願いしても、実際に木を切るのは相手の職人さんです。
木は大きさだけで重さが決まるものでもありません。
時期によって水分を多く含んでいることもあり、見た目だけでは重量を判断しにくいことがあります。
職人さんに重量を伝えて切ってもらっても、必ずその重量になるとは限りません。
想定より重くなれば、クレーンの能力を超えてしまう可能性もあります。
クレーンの吊上げ能力は機種や作業半径、姿勢などさまざまな条件で変わるため、実際の現場では定格総荷重表や現場のルールなどを確認して作業することが大前提です。
伐採では木の枝にも注意する
伐採で怖いのは重量だけではありません。
対象の木によっては、ブームを木の近くまで持っていかなければならないことがあります。
そこで気をつけなければならないのが「枝」です。
枝がブームについているコードリールなどに当たったり、引っかかったりすることがあります。
もしコードなどを損傷してしまえば、クレーンが正常に動かせなくなる可能性もあります。
そうなれば、その日の作業だけの問題ではありません。
修理したり、新しい部品を注文したりする必要が出てきて、場合によっては次の日の現場にクレーンを出せなくなることもあります。
伐採では吊っている木だけを見るのではなく、クレーン本体と周囲の枝との位置関係にも気を配ります。
ホッパーによる埋め戻しは地味だけど大変
もう一つ大変なのが、「ホッパーを使った埋め戻し作業」です。
一回だけ見れば、それほど難しい作業には見えないかもしれません。
しかし実際には、
「運ぶ → 正確な位置へ持っていく → 戻す」
という作業を何度も何度も繰り返します。
ここで大切なのが「速さと正確さ」です。
一日を通して作業すると、ベテランと新人では作業量に差が出ます。
同じ時間でも、経験のあるオペレーターの方が速く、しかも正確に作業できます。
僕も経験が浅い頃は、この差を感じました。
会社として同じようにお金をいただいて仕事をしている以上、「自分が遅いことで作業が進まないのは申し訳ない」という気持ちにもなります。
派手な作業ではありません。
でも一日中、速さと正確さを求められながら同じ作業を繰り返す。
「地味だけど大変。」
そんな仕事の一つです。
トンネル内など狭い場所での伸縮作業
トンネル内など、周囲に構造物がある場所での作業も難しいです。
広い場所なら動かせるブームも、トンネル内では動かせる範囲が限られます。
上にも横にも障害物がある中で、ブームを伸ばしたり縮めたりしながら作業しなければならないことがあります。
限られた空間の中で、「どこまで動かせるのか」を常に意識しながら操作するので、非常に神経を使います。
新人の頃はクレーンを走らせることにも苦労した
吊り作業だけではなく、僕は新人の頃、「クレーンで道路を走ること」にも苦労しました。
クレーン車は乗用車とは車体の大きさも動き方も違います。
特に意識しなければならなかったのが、曲がったときの車体後部の動きです。
前だけ見て運転すればいいわけではなく、後ろのタイヤがどう動くのかも考えなければなりません。
その感覚を身につけるための走行練習も、新人の頃は大変でした。
今では普通にやっていることでも、最初からできたわけではありません。
一つ一つ経験して覚えてきたことばかりです。
それでもクレーンオペレーターをやっていて良かったと思う瞬間
ここまで大変なことばかり書きましたが、それでもこの仕事をやっていて良かったと思う瞬間があります。
特に嬉しいのが、腕が良いと言われている職人さんから指名をもらったときです。
そして僕にとってさらに嬉しいのが、見習いの頃に怒られた職人さんから指名をもらったときです。
昔は怒られていた職人さんから「また来てほしい」と言ってもらえる。
そんなときは、自分の仕事を少し認めてもらえたような気がします。
そして、これは僕の勝手な勘違いかもしれませんが(笑)、大変な現場であればあるほど、無事に仕事が終わったあと、
「今日の現場、自分じゃなかったらできなかったんじゃないか」
と思うことがあります。
そう思えた日は、やっぱりこの仕事をやっていて良かったと思います。
誰にでもできることを、誰にもできないほどやる
人が手では持てない物を、自分が運転席に座り、レバーを操作して吊り上げる。
単純に考えれば、それだけのことかもしれません。
でも改めて考えると、すごい仕事だと思います。
クレーンを操作すること自体は、必要な資格を取り、きちんと練習を重ねれば身につけていける仕事です。
でも僕は、
「誰にでもできることだけど、それを極めて誰にもできないほどやる。」
そんな気持ちでクレーンに乗っています。
まだまだ自分も勉強することはあります。
それでも、一つ一つの現場を安全に終わらせ、また「あのオペレーターに来てもらいたい」と思ってもらえるような仕事をしていきたいと思っています。



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