クレーンの作業半径について、
「どこからどこまで測るの?」
と聞かれることがあります。
簡単に言えば、クレーンの旋回中心から、実際にフックが来る位置までの水平距離です。
作業半径が遠くなると、なぜ吊れる重量が減るのかは、こちらの記事で詳しく解説しています。
ただ、現場では単純に距離だけ測れば終わりではありません。
自分が現調に行く時は、
- どこにクレーンを据えるか
- そのクレーンの旋回中心がどこになるか
- 実際にフックが来る位置はどこか
- 障害物で作業半径が伸びないか
- その半径で性能的に余裕があるか
まで確認します。
今回は、自分が実際に現調でどうやって作業半径を見ているのかを紹介します。
※この記事は自分の現場経験をもとにした内容です。実際のクレーン作業では、機種・仕様・現場条件・作業計画・関係法令・メーカーの取扱説明書などを必ず確認してください。
作業半径は「旋回中心からフックまで」
作業半径は、クレーンの旋回中心から、実際にフックが来る位置までの距離です。
ここで大事なのは、
対象物の手前までではなく、実際に吊る位置まで見る
ということです。
たとえば建物の奥にある材料を吊る場合、
建物の手前までの距離ではなく、実際にフックを持っていく奥の吊り位置までを確認します。
この距離が変わると、クレーンの吊れる重量も変わってきます。
現調ではレーザーとスケールで距離を測る
自分が現調する時は、レーザー距離計やスケールを使って、
対象物からクレーンの旋回中心までの距離
を測ります。
ただし、現調の時点ではクレーン本体が現場にいないことも多いです。
その場合でも、予定しているクレーンの、
- アウトリガーの位置
- バンパーの位置
- 車体寸法
が分かっていれば、そこから旋回中心の位置を出せます。
たとえば25tクラスなら、
「ここにクレーンを据えるなら、旋回中心はこの辺になる」
という位置を出して、そこから対象物までの距離を測ります。
クレーンの大きさや機種によって旋回中心の位置は変わるので、どのクレーンを使うかによって現調の見方も変わります。
距離を測ったら性能表で確認する
作業半径を出したら、それで終わりではありません。
次に性能表を見て、
その作業半径で、その荷物を安全に吊れるか
を確認します。
同じ荷物でも、クレーンの近くで吊るのと、遠い場所で吊るのでは条件が大きく変わります。
だから現調では、
「何トンあるか」
だけではなく、
「何mの作業半径になるか」
を必ずセットで見ます。
自分はギリギリでは現調しない
自分は現調する時、性能上ギリギリの条件ではGOを出しません。
必ずある程度余裕を見ます。
理由は、現場では当日になって、
- セット位置が少し変わる
- 荷物の位置が少しずれる
- 障害物で吊り位置が遠くなる
といったことがあるからです。
自分の中では、
「ギリギリできる」ではなく、「余裕を持ってできる」
という条件で現調します。
「一番うまいオペならできる」は基準にしない
現調で自分がもうひとつ大事にしているのが、
誰が行っても無理なく作業できるようにすること
です。
たとえばクレーンのセット場所がかなり狭くて、何度も切り返さないと入れない現場があるとします。
しかも、
「運転がかなり上手いオペレーターじゃないと、どこかにぶつける可能性がある」
という状況だったら、自分はGOサインを出しません。
基準を、
「一番上手い人ならできる」
に合わせないようにしています。
現調した本人が作業に行くとは限りません。
別のオペレーターが行っても、安全に進入して、安全にセットできる状態でないと意味がないと思っています。
入れない場合はクレーンサイズを下げることもある
現場への進入が厳しい場合は、
「このサイズのクレーンまでしか入れません」
と伝えることもあります。
そのうえで、
- 小さいクレーンで届く方法がないか
- 別の場所からアプローチできないか
- セット位置を変えられないか
を検討します。
大きいクレーンを持っていけば解決するとは限りません。
性能は上がっても、そもそも現場に入れなければ使えないからです。
屋上作業では実際の吊り位置まで見に行く
建物の屋上で作業する場合、自分は可能であれば実際に屋上まで上がって確認します。
理由は、地上から見ただけでは分からないことがあるからです。
屋上では、
- パラペット
- 室外機
- 配管
- その他の障害物
などを確認します。
図面上では届くように見えても、障害物があることで吊り位置をずらさなければならず、作業半径がさらに伸びることがあります。
だから自分としては、屋上もできるだけ目視で確認したいです。
屋上に行けない場合はお客さんにも確認する
どうしても屋上へ上がれない場合もあります。
そういう時は、お客さんに、
「屋上から何m先まで確実に届けばいいですか?」
と確認します。
さらに、状況によってはGoogleマップの航空写真を見ることもあります。
もちろん航空写真だけで全て判断するわけではありませんが、
「屋上に何がありそうか」
を見る参考にはなります。
障害物で作業半径が約5m伸びた実体験
実際に、現調では余裕で届くと思っていたのに、当日になって作業半径が伸びたことがあります。
その時に使用していたのは16tクラスのクレーンでした。
事前には、
「この位置なら余裕で届く」
と思っていました。
ところが実際に作業を始めると、配管が障害物になり、予定していた位置に材料を下ろせませんでした。
そのため、材料を下ろす位置をずらす必要があり、
作業半径が約5m伸びました。
最終的には、その現場では「ひ孫」を出して対応しました。
この経験からも、
作業半径は単純な直線距離だけを見ればいいわけではない
ということを感じます。
現場では、
「そこに届くか」
だけではなく、
「実際にそこまでフックを持っていけるか」
を見る必要があります。
作業半径と「届くか」「吊れるか」は別
ここも初心者の人には少し分かりにくいところですが、
届くことと、吊れることは別です。
ブームが届いたとしても、その作業半径で必要な重量を吊れるとは限りません。
逆に、性能上は重量的に余裕があっても、障害物のせいでブームやフックを持っていけないこともあります。
だから現調では、
- 距離
- 高さ
- 障害物
- 荷物の重量
- クレーンの性能
- 進入経路
- セット場所
をまとめて見ます。
まとめ
今回は、クレーンの作業半径をどこから測るのかについて、自分が実際に現調で確認していることを紹介しました。
自分の場合は、
- 実際にフックが来る位置まで測る
- クレーンが現場になくても車体寸法から旋回中心を出す
- レーザーやスケールで距離を確認する
- 性能表で吊れるか確認する
- ギリギリではなく余裕を見る
- 誰が行ってもできる条件で現調する
- 屋上や障害物もできるだけ目視で確認する
という流れで見ています。
特に大事だと思っているのは、
「自分ならできる」ではなく、「誰が行っても安全にできるか」
ということです。
現調は、ただ距離を測る作業ではありません。
実際にクレーンが入り、セットして、フックを目的の位置まで持っていき、安全に作業できるか。
そこまで考えて初めて、現場で使える現調になると思っています。



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