ラフタークレーンのアウトリガーとは?現役オペが教える「足を張る」意味と重要性

クレーンの仕事

クレーンの現場では、

「足を張る」

という言葉をよく使います。

クレーンを知らない人から、

「アウトリガーって何?」

と聞かれたら、僕は簡単に、

「クレーンの転倒を防ぐための足」

と説明します。

現場に到着したクレーンは、車体からアウトリガーを張り出して地面に接地させ、クレーン作業ができる状態にします。

でも、ただアウトリガーを出せばいいわけではありません。

どこまで張り出すのか。

地盤は大丈夫なのか。

水平は取れているのか。

周囲に人や物はいないのか。

僕は、実際に荷物を吊り始める前の準備が非常に大切だと思っています。

今回は、ラフタークレーンのアウトリガーについて、僕が実際の現場で気をつけていることも含めて書いてみます。

アウトリガーとは「クレーンの転倒を防ぐための足」

アウトリガーとは、簡単に言えばクレーンを安定させるための足です。

現場ではアウトリガーを張り出すことを、

「足を張る」

と言ったりします。

クレーンは重量物を吊り上げ、その荷物を旋回させたり、ブームを伸ばしたりして作業します。

そのため、作業前にアウトリガーを適切に張り、クレーンを安定した状態にすることが重要です。

僕の中では、荷物を吊り始めてからがクレーン作業なのではなく、アウトリガーを張るところからすでにクレーン作業は始まっています。

基本は「全張り」

僕の場合、アウトリガーは基本的に全張りで作業します。

スペースがあって全張りできるのであれば、基本は全部出します。

ただ、実際の現場では毎回きれいに全張りできるわけではありません。

特に道路上での作業や狭小地です。

道路幅や周囲の状況によって、

片側だけ全張りにしたり、中間張りにしたりすることも多々あります。

現場によって条件は本当にさまざまです。

アウトリガーの張り幅で吊れる能力は変わる

ここで大切なのが、

アウトリガーは出していれば全部同じではない

ということです。

例えば片側は全部出していて、反対側は中間張りだったとします。

この場合、全部出している側と、出ていない側では吊れる能力が変わります。

つまり、

「アウトリガーを張ったから、このクレーンの最大能力で何でも吊れる」

というわけではありません。

アウトリガーをどこまで張り出しているのか。

どちらの方向へ荷を吊るのか。

作業半径はどのくらいなのか。

吊り荷は何kg・何tなのか。

そういった条件を確認して作業します。

張り出し状態はクレーンが自動で検出する

現在のクレーンでは、アウトリガーの張り出し状態を自動で検出します。

アウトリガー本体にも、

最大張り出し・一コマ出し・二コマ出し・三コマ出し

といった位置が分かるようにステッカーが貼ってあり、目視でも確認できます。

機械が検出してくれるからといって、それだけを見ていればいいとは僕は考えていません。

実際に自分の目でも確認する。

クレーンの仕事では、こういう確認が大切だと思っています。

※機種によってアウトリガーの張り出し方式や検出・表示方法などは異なります。実際の作業では、その機種の取扱説明書や性能表、現場の作業計画などに従う必要があります。

アウトリガーの下には基本的に敷板を入れる

僕はアウトリガーの下には、基本的に毎回敷板を入れています。

ただし、現場の地面は毎回同じではありません。

アスファルトもあれば、土や砂利の場合もあります。

勾配がかなりある現場もあります。

そういった場所では、現場条件を確認したうえで、バタ角などを使用して調整し、その上に敷板を使用することもあります。

また、インターロッキングのように傷をつけたくない場所では、元請けさんがあらかじめ、

プラ敷・ベニア・ゴムマット

などで養生してくれていることもあります。

アウトリガーは、

「地面に着いたからOK」

ではありません。

その下がどうなっているのかまで見る必要があります。

※敷板やバタ角などの使用方法については、機種・地盤・勾配・荷重などによって条件が異なります。実際の設置はメーカーの取扱説明書や現場の作業計画などに従って判断します。

僕は水平器が少しでもズレていたら作業しない

アウトリガーを張ったあと、僕が必ず確認するのがクレーンの水平です。

僕の場合、

水平器が少しでもズレていたら、そのまま作業には入りません。

必ず水平を取り直してから作業します。

僕は、クレーンという仕事は準備がものすごく大切だと思っています。

「ちょっと傾いているけど大丈夫かな」

「足元はこれで大丈夫かな」

そんな不安を残した状態で荷物を吊り始めると、その不安が実際の作業にも影響すると僕は思います。

だから、

準備をきちんとして、自分の中の不安をなくしてから吊る。

僕はこれを大切にしています。

水平を取ったからといって、すぐ作業開始ではない

水平が取れたら、それで全部終わりではありません。

僕は作業に入る前にもう一度確認します。

まず、

地盤が沈んできていないか。

そして、

タイヤは浮いているか。

さらに、

クレーンの設定は合っているか。

最後に、

周囲に問題はないか。

こういったところを確認してから、実際の作業に入ります。

アウトリガーを張って水平になった瞬間だけを見るのではなく、その状態に変化がないかも重要です。

実際に荷を吊ったら地盤が沈んだことがある

これは僕が実際に経験した話です。

クレーンをセットしたときには、きちんと水平を取っていました。

特に問題はないように見えました。

ところが、実際に荷を揚重したときです。

水平器が徐々に動いていきました。

確認すると、アウトリガーを設置していた場所の地盤が沈み始めていました。

セットしたときは大丈夫でも、実際に荷重がかかったことで状態が変わったわけです。

荷を下ろして、すぐに作業を止めた

水平器が動いていることに気づいたので、そのときは荷を下ろして、一度作業を止めました。

そのまま続けることはしませんでした。

クレーンを一度移動させて、地盤に鉄板を敷いてもらいました。

その後、もう一度クレーンをセット。

改めて状態を確認してから作業を再開しました。

この経験からも、

「最初に確認したから、その後も大丈夫」

とは限らないと思っています。

作業中にもクレーンの状態に変化がないかを見る。

何かおかしいと思ったら、一度止めて確認する。

これは非常に大切だと思います。

新人には「ゆっくり一本ずつ出す」と伝えている

アウトリガーはクレーンを安定させるためのものですが、張り出すときにも危険があります。

新人にアウトリガーの張り方を教えるとき、僕がまず伝えるのは、

「絶対に人や物に当てないように、ゆっくり一本ずつ出す」

ということです。

アウトリガーは車体から横方向へ出ていきます。

その先に人がいないか。

資材や車などがないか。

必ず確認してから出します。

見えにくければ、降りて自分の目で確認する

クレーンによっては、運転席だけではなく、車体側面の操作部からアウトリガーを操作できます。

僕は新人にも、しっかり自分の目で見ながら出すように伝えています。

クレーンは構造上、運転席から見えにくい場所もあります。

そんなときに、

「たぶん大丈夫だろう」

でアウトリガーを出すのではなく、見えないのであれば降りて確認する。

人や物に当ててしまってからでは遅いです。

アウトリガーを張る作業自体も、安全確認をしながらゆっくり行う必要があります。

アウトリガーは「出せば終わり」ではない

アウトリガーというと、

「現場に着いたら足を出して、クレーンを水平にするもの」

くらいに思われるかもしれません。

でも実際には、確認することがたくさんあります。

アウトリガーをどこまで張れるのか。

地盤は大丈夫なのか。

敷板はどうするのか。

水平は取れているのか。

張り出し状態はどうなっているのか。

周囲に人や物はいないか。

そして作業を始めたあとも、地盤や水平に変化がないかを見る。

アウトリガーを出すこと自体が目的ではなく、クレーンを安全に作業できる状態にすることが目的です。

まとめ|クレーン作業は「吊る前の準備」が大切

僕がクレーンの仕事をしていて大切にしている考えがあります。

それは、

「クレーンは作業よりも準備が完璧でないと、その不安が作業にも影響する」

ということです。

アウトリガーをゆっくり一本ずつ張る。

地盤を見る。

敷板を確認する。

水平をきちんと取る。

クレーンの状態や設定、周囲を確認する。

そして、自分の中で不安がない状態になってから荷物を吊る。

僕は、そこまで含めてクレーン作業だと思っています。

実際に荷物を吊っている姿だけを見ると、オペレーターの腕は操作の上手さだけで決まるように見えるかもしれません。

でも僕は、

「安心して操作できる状態を、吊る前にどこまで作れるか」

もオペレーターにとって大切なことだと思っています。

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