「ラフタークレーンってどんな車?」
と聞かれたら、僕なら簡単にこう答えます。
どれだけ筋トレした人でも持てない物を、代わりに吊ってくれる車です(笑)。
鉄骨や機械など、人の力ではどうにもならない重量物を吊り上げて移動させるのがクレーンの仕事です。
僕自身、これまでさまざまなサイズのラフタークレーンに乗ってきました。
今回はクレーンをまったく知らない人にも分かるように、ラフタークレーンがどんな車なのか、実際に乗っているオペレーター目線で紹介してみます。
ラフタークレーンってどんなクレーン?
ラフタークレーンは、現場まで道路を走って移動し、到着したらクレーンとして作業できる車です。
僕が好きなところの一つが、走行とクレーン操作を一つの運転席でできることです。
現場まで自分で運転して行って、現場に着いたら同じ運転席からクレーンを操作する。
「走る車」と「物を吊る機械」が一つになっているところが、ラフタークレーンの面白いところだと思います。
大きいのに狭い場所にも入っていける
ラフタークレーンは車体が大きいので、普通の乗用車とは運転感覚がかなり違います。
一方で、4WS(四輪操舵)が使える車両もあり、前後のタイヤを使って狭い場所で取り回すことができます。
現場では、
「こんなところにクレーンが入るの?」
と思うような場所に入っていくこともあります。
ただし、普通の車とは車体の動きが違うため、曲がるときはかなり気を使います。
車体が大きく、操舵の仕方によって外輪差なども変わるため、周囲をよく確認しながら運転します。
死角が多いので目視とモニターで確認する
ラフタークレーンは車高が高いため、遠くまで見渡しやすいという良さがあります。
ただ、見やすいところばかりではありません。
車体が大きいので死角があります。
特に僕が嫌いなのが、ブームの影響で走行中に左側がかなり見えにくいことです。
そのため、目視だけに頼るのではなく、モニターなども使って周囲を確認しながら走ります。
普通の乗用車から初めてラフタークレーンに乗ると、車体の大きさだけでなく、この視界の違いにも驚くと思います。
見た目に反して、そんなに速くない
大きなクレーンが道路を走っていると、
「もっと速く走れないの?」
と思う人もいるかもしれません。
でもラフタークレーンは、速く走るための車ではありません。
僕が乗ってきた車両では、速度は50km/h程度のものもありました。
さらに急な上り坂では、20km/hも出ないことがあります。
後ろに車がつながってしまうこともあり、オペレーターとしては申し訳なく感じることもあります。
山道でゴルフに向かう人に怒られた(笑)
以前、早朝に山の方の現場へ向かっていたときのことです。
急な上り坂なので、クレーンはどうしてもゆっくりしか走れません。
すると、後ろを走っていたゴルフへ向かう方がイライラしてしまったようで、
「なんでこんなに遅く走っているんだ」
と怒られたことがあります(笑)。
こちらも好きでゆっくり走っているわけではありません。
出ないものは出ません(笑)。
大きなクレーンを道路で見かけたときは、
「遅いなぁ」
と思うこともあるかもしれませんが、こんな事情があることも知ってもらえたらと思います。
車高は高くて見晴らしがいい。でも乗り心地は……
ラフタークレーンの運転席は高い位置にあります。
そのため見晴らしはよく、普通の乗用車とは違った景色が見えます。
僕はこの高さから見る景色は結構好きです。
ただし、
乗り心地が良いかと言われると、良くありません(笑)。
現場まで長時間移動する日は、それだけでも疲れることがあります。
「25tクレーンなら25t吊れる」はちょっと違う
クレーンを知らない人からすると、少し分かりにくいのが、
「25tクレーンの25tって何?」
というところだと思います。
僕ならまず、吊り上げ荷重を表していると説明します。
すると、
「じゃあ25tクレーンなら25tの物を吊れるんだ」
と思うかもしれません。
でも実際に乗っている僕からすると、
「25tクレーンで25tなんて、とてもじゃないけど普通の現場では吊らないよ」
という感覚です。
クレーンが実際に吊れる重量は、荷物までの距離(作業半径)やブームの状態など、さまざまな条件によって変わります。
そのため、
「25tクレーンだから25tまで大丈夫」
という考え方ではありません。
実際の作業では、そのクレーンの性能やそのときの作業条件を確認して判断します。
ラフタークレーンの一番すごいところ
僕がラフタークレーンの一番すごいところだと思うのは、やっぱり、
人の力では持てない物を、レバー操作で吊ることができること。
これです。
何トンもあるような物が、自分のレバー操作でゆっくり持ち上がっていく。
長くクレーンに乗っていると、それが仕事なので当たり前の光景になってきます。
でも改めて考えると、すごい機械だと思います。
もちろん、レバーを動かせば何でも自由に吊れるというわけではありません。
荷物の重量、作業半径、周囲の状況、地盤などを確認して、安全に作業できる条件を整えることが大切です。
まとめ|ラフタークレーンは「走って吊れる」面白い車
ラフタークレーンは、
現場まで自分で走って行き、人の力では持てない物を吊り上げる。
そんな二つの役割を持った車です。
4WSなどを使って狭い場所に入っていける一方で、車体が大きく、死角もあるため、道路を走るだけでも普通の乗用車とは違った注意が必要です。
そして「25tクレーン」のような数字だけを見て、どんな状況でもその重量を吊れるわけではありません。
僕自身、いろいろなラフタークレーンに乗ってきましたが、
走ることと吊ることを一つの運転席でできる。
ここが今でも好きなところです。
街中でラフタークレーンを見かけたら、
「あれ、人間がどれだけ筋トレしても持てない物を吊る車なんだな(笑)」
と思って見てもらえたら、少しクレーンが面白く見えるかもしれません。



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