クレーンオペレーターの仕事を長くしていると、いろいろな現場を経験します。
難しい現場もあれば、「今日はうまくいったな」と達成感を感じる現場もあります。
その一方で、
「これは本当に危なかった」
と今でも覚えている出来事もあります。
今回は、僕が実際にクレーンオペレーターとして働いてきた中で、特に怖かった出来事を書いてみようと思います。
一番怖かったのは、見えない場所での伐採
今までで一番怖かったのは、木の伐採をクレーンで吊っていたときです。
その現場では、木を切る場所がオペ室から見えませんでした。
そのため、職人さんとは無線でやり取りをしながら作業していました。
その日のクレーンの状態や作業条件から、事前の打ち合わせで、
「500kgまでにして、必ずその範囲で切ってください」
と伝えていました。
ところが、実際にはそれを大幅に超える重さだったと思います。
正確に何kgだったのかは分かりません。
ただ、その後クレーンに起きたことを考えても、明らかに想定していた重量ではありませんでした。
「切れるよー」の直後、一気にブームが持っていかれた
作業中、無線から、
「切れるよー」
と聞こえてきました。
そして木が切れたと思った瞬間でした。
一気にブームが荷の方へ持っていかれました。
そのままクレーンの後ろ側が浮きました。
一瞬の出来事です。
結果的には、吊っていた木が先に地面についてくれたことで、クレーンは転倒せずに済みました。
その後、浮いたクレーンが元の状態へ戻ったのですが、そのときの衝撃は今でも覚えています。
あれは本当に怖かったです。
クレーンが戻ったあと、さらに怖くなった
でも、怖かったのはクレーンが浮いたことだけではありません。
クレーンが戻った直後、頭に浮かんだのが、
「今、着いた荷の近くに人はいなかったか?」
ということでした。
僕からは荷が見えません。
クレーンが転倒しそうになった恐怖のあとに、今度は見えない場所で誰かが荷に巻き込まれていないかという怖さが来ました。
幸い大きな事故にはなりませんでしたが、あの瞬間のことは忘れられません。
その後、営業担当も現場へ来た
作業後、僕はかなり怒りました。
事前に重量について打ち合わせをしていたのに、それが守られず、実際にクレーンが転倒しかねない状態になったからです。
会社の営業担当も現場へ来て、元請さんと、
「なぜこのようなことになったのか」
について話をしていました。
その後、そのとき伐採を担当していた職人さんたちは現場に入らないことになり、翌日は別の業者が来て伐採作業を行いました。
この経験で改めて感じたのは、クレーンオペレーターだけが安全に気をつけていればいいわけではないということです。
特にオペレーターから見えない場所での作業では、事前の打ち合わせや無線から入ってくる情報を信頼して仕事をします。
だからこそ、現場で決めたことを全員が守ることが本当に重要だと思います。
吊っている最中に「景色がおかしい」と感じた
もう一つ、今でも覚えている怖い経験があります。
地盤が緩い現場で作業していたときです。
荷を吊って移動させている途中、
「あれ?なんか景色が変わってるな」
と感じました。
最初はほんの少しの違和感でした。
そこで水平器を確認すると、徐々に水平がずれていました。
アウトリガーを設置していた場所の地盤が沈み始めていたんです。
異変に気づいて、すぐに荷を下ろして対応しました。
クレーンは非常に大きな車両ですが、最終的にそのクレーンを支えているのは地面です。
それ以来、地盤の重要性をより強く意識するようになりました。
※地盤条件やクレーンの状態によって対応は異なります。ここで書いている内容は、あくまで僕が実際に経験した現場での話です。
別の意味で怖かった「山の中の猿」
最後はちょっと違う意味で怖かった話です(笑)。
山の中にクレーンを留置していた現場がありました。
朝、現場へ行ってクレーンに乗ろうと思ったら……
猿がたくさんいました。
クレーンのところまで行きたいのですが、猿がいるので近づけません。
結局、猿たちがいなくなるまでオペ室へ行くことができませんでした(笑)。
クレーンに乗っていると、機械や荷だけではなく、こんなことまであります。
山の現場ならではの出来事ですね。
経験を積んでも「怖いものは怖い」
クレーンオペレーターとして経験を積めば、できる作業は増えていきます。
新人の頃には難しかったことも、経験を重ねることで対応できるようになります。
でも、だからといって怖さがなくなるわけではありません。
むしろ経験を積んだからこそ、
「これ以上は危ない」
「何かがおかしい」
と感じることも増えたように思います。
クレーンは大きな物を簡単に動かせる機械です。
だからこそ、一つの判断や、一つの打ち合わせを軽く考えることはできません。
そしてクレーン作業の安全は、オペレーター一人だけで作るものでもありません。
合図をする人、荷を扱う人、作業する職人さん、元請さん、そしてクレーンオペレーター。
現場にいるみんなが決めたことを守って、初めて安全な作業ができる。
僕が経験した怖い出来事から、改めてそう感じています。



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